めぐり堂書店 ことから屋 の日記
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〔御報告〕 西陣哲学カフェ 第1回 「縦と横の人間関係」(2019.03.31開催)
2019.04.04
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いま、巷に認知されつつある〔哲学カフェ〕という対話イベントを
3月31日、めぐり堂書店ことから屋で 実験的に開催してみました。
哲学カフェとは、
そこに集った人たちで あるテーマについて 自由に語り合って
考えを深め合う 集い(の、総称)のようです。
今回は、皆さんに語って頂きやすいテーマがいいだろうと
「人間関係」を題材に 各方面・各メディアに事前告知してみたのですが
私供の知名度の低さのせいか、前日夕方まで参加申し込みが全くなくて
開催が危ぶまれましたが、当日は 5名の方に参加いただいて
●西陣はんなり哲学カフェ
第1回「縦と横の人間関係」●
無事開催させていただきました。
参加者は OLの女性2人、シニアの女性1人、
メーカー勤務の男性1人、そして 主催者の私の 計5人。
最初に自己紹介をし、
まずはテーマ「人間関係」について 思うところを各自 語って頂いて
人間関係の種類を整理―――
今回は、その中から
「めんどくさい お付き合いと どう関わるか?」というテーマに絞って
話し合いを行いました。
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「近所付き合いって、めんどくさいですよね」
と、
マンションひとり暮らしの メーカー勤務の男性が まず話題投入――
「昔は、付き合いの幅が狭くて 濃密だったけど、
今は お付き合い自体が いろんな方面に分散してますね」と続けられました。
「回覧板、隣に声かけて渡すか? 黙って置いておくか? 迷います(笑)
ひとり暮らしのお隣さんがずっと出なくて、通報した方がいいのかな?とか
悩んだ事がありました。」
と 京都の街中で育ったOLの方が吐露。
「回覧板、確かにめんどくさいですね(笑)、
でも郵便配達や回覧板は、ひとり暮らしの方の生存確認というか
セーフティネットになってる面もありますしね――」
と、
男性の方は 続けて、
「東京だと、マンションで暮らしてる人は、セールスとか警戒して
チャイムが鳴っても出ないで人もいますけど」とも。
「京都人かて、心のガード堅いで(笑)
いったん仲良うなったら奥まで入れてくれるけどな(笑)」
とシニアの女性。
「 私らの年代やと ひとり暮らしの年寄りが仲良くなるのは
コミュニティバスとかで 行き先がいつも同じで、気の合う人らかな。
隣近所やからいうて、付き合いがある訳やないしねえ」とも。
もう1人の新興住宅街育ちの OLの方は
「隣の2世代住宅の、老夫婦と若夫婦が仲悪いので(笑)、
差し入れも それぞれの夫婦に 別々に持っていかないと 気まずい、
って、知人がいってました」と事例紹介。
近所付き合いにも いろんな悩みがあるんだなあと、事例を確認したところで
「 でも今は 昔に比べて 〔選べる付き合い〕と〔選べない付き合い〕の
選択の幅が広がってきてる気はしますね――」 と 男性が 問題提起。
職場や親子や親戚関係は 付き合いを選ぶこと自体が 難しいけど、
今は いろんなサークルがあって 自分で選べるようになってきてる。
「 近所付き合いは、この2つの中間くらいの 自由度でしょうか(笑)。
良くも悪くも、しがらみ や めんどくさいものを 避けて生きられる
そういう時代には なってきてますね――」
と 続けて考察し
「でも、田舎の両親の悩みは〔お墓〕と〔自分たちの介護〕の事なんです」
と、
両親と離れて都会に1人暮らしの〔長男〕としてのリアルな問題を吐露。
「家で死ぬか? 病院で死ぬか? 本人も 家族も 悩みますよねえ。
本人としては 家で死ぬのが本望やと思いますけど
看取る家族の負担、大きいですしね。
世間の目というか、道徳的な事でも 悩むと思います――」
と 街中OLの女性が言うと
「今は、意思表示カードっていうのがあるしねえ――」と シニアの女性。
ある程度、付き合いを〔選べる時代〕に なってきてはいるけれども、
親子 親戚の問題は ついて回りますねえ、と、皆で痛感。
「では、付き合いが壊れるのは 何故なんでしょう――?」と男性が問うと
「期待するからです」 と 街中OLの女性が 即答。
「 『やってくれて当然』という期待の気持ちが 自分にあるから、
やってくれなかったときに 怒っちゃうんです―――」
と 新興住宅のOL女性が フォロー説明を。
街中OLの女性は
「学生時代に部活で、私は後輩にやさしく『対等に接していいよ』
っていう感じで 仲良くやろうとしてたんですけど、
先輩から『 部の規律を乱すような事をしないで!』って叱られました。
先輩たちにとっては、全員で上下関係をしっかり維持していくのが当然、
って感じだったんですね」
と 実例としての体験談を続けてくれました。
「う~ん、でも 部活は 社会でのルールを学べる場でもあるしねえ(笑)」
と、新興住宅OLが 少し視点を変えてコメントすると
「 僕は、理想というと
人は 上も下もなく、対等に尊重しあうのがいいと思うんです」
と男性、
「 ただ、若い人の中には 本当にマナーを知らない人もいたりして。
ビジネススクールでの飲み会で
『僕は今お金がないので 皆さんおごってください』って
自分から言った子がいまして(笑)
上下関係とは別に、
世代間での 常識の違いには ときどきビックリさせられますね――」
と 現実の問題に触れると
「 地方によっても、
結納のしきたりが違ってたりして、困った事があります――」
と
新興住宅の女性、
「 こういう問題を取りまとめるには、
双方の文化を しっかり理解している必要があるなあ、って
思いましたね―――」
と 実感のこもったコメントで 皆を唸らせました。
「 人間関係が壊れる時について、ここまで考えてきましたけど――
じゃあ、皆さん、
壊れた人間関係を修復しようと、努力をなさる方ですか?」
と、男性から最後の問題提起。
「昔と違って、今は
新しい人間関係をどんどん作っていける時代なので、
どちらかというと 若い世代は
壊れた関係の修復にはエネルギーを使わない傾向があって
それが原因なのか、
『付き合い下手』な人が増えてる気がするんですけど
どうでしょう?」 と問うと、
街中OLの女性が
「この間、私んとこの会社に入ったパートさんが3日で辞めはったんです。
そういう事は 担当者に会って直接 言うのが筋やと思うんですけど、
その人は、朝いきなり電話してきて
事務員の私に『そういう事で 社長に伝えといて――』って。
私に言われて困るんですけど(笑)」
「それはヒドイですね」と男性、
「僕も前職で、面接を担当してた事があるんですが、
学生さんとか 当日のドタキャンの連絡を平気でしてくる人がいまして。
こっちは笑顔で『はい、そうですか』って承りますけど
実際は 各部署の担当者のスケジュール合わせで必死なのに、
軽く受け止められてるのが ちょっと残念な気はしますねえ」と。
「 正社員と派遣さんとの、意識の違いもあると思います――」
と 新興住宅OLの女性、
「派遣社員の人は長くいるつもりがないから、
人間関係をつくっていこうという意識が 正社員の人よりは薄いと思います。
ここでダメでも別の派遣先がある、という意識が、良くも悪くも あるから
あまり そこにはエネルギーを使わないんじゃないでしょうかねえ」
と、現場の傾向を指摘。
さらに
「 昔は どこのコミュニティにも 仲介・仲裁役みたいな人がいて
世話を焼いたりしてくれてましたね」とも。
「そういう役目の人は、会社の中では特に重要ですよ」 と男性。
「ただ、そういう役目の人は、昔に比べて減ってきてますね」と。
「 昭和の時代の方が、おせっかい焼きが ようけおって、良かってん」
と シニアの女性
「昔はな、なんか事あるごとに
『元気か?』って電話してきてくれる人、ようけ おったでえ。
やっぱり メールやなくて
声きいたり 逢って話したら 嬉しいし、元気になんねん(笑)
今は あんまり、そういうの ないやろ?」と
「 ええ、ですから 今みたいな時代だからこそ
そういう人がいらっしゃる事の価値が 昔より ずっと大きいと思うんですよね」
と 男性が 新たな論点を 出したところで 終了時間に――
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あえて まとめも 結論付けも せず、
語り合って各自が考えを深める事を目的に 当 哲学カフェは やっていきたい
と思います。
今回は、少人数ながら 密度の濃い 良い語り合いができたと思います。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
次回は テーマを変えて 6月か7月頃に開催したいと思いますので
どうぞ よろしくお願いいたします。
